- クル。クルリ。 -




ふと。TVを見ている岩瀬に石川から質問された。それは―

「基寿の夢は『世界一周』だって?」
「…どこで聞いたんですか?」
「この前、アレクが言ってた。」
「あぁ…。そうですけど、チョット抜けてます。」
「何が?」
「それはですね。『悠さんと一緒に世界一周』デス!!」
「あはは。そうだな…俺も一緒に行きたいよ」
「デショ?では!プランとか立ちゃいますか?」
「もう!?」
「はい!! 思いついたら即、行動で!」
「…なんだソレ…」
「ふふふー。では。」

そう言って、岩瀬はイソイソと押入れの奥から地球儀を持ってきた。

「それって… 懐かしいな…」

シンプルなそれは、学生時代お世話になった代物で。
手渡された石川は、地球儀をクルクルと回してみた…

「今は何でも3Dですが…こういうのもイイでしょ?」
「あぁ… 実は地球儀って好きだった…、知らない国でも身近に感じれて…」
「そうですよね!俺も好きです!!」

石川と岩瀬は地球儀を挟んで向かい合わせに座る。
そして、岩瀬の壮大な?計画が話されるのであった―

「悠さんは行ってみたい国とかは?」
「そうだな… 中国…とか?」
「いいですね!中国!! 万里の長城とか?」
「香港とか?」
「そうそう!で、美味しい飲茶を食べたいですvv」
「あはは。そうだな!」
「じゃあ、中国からロシアとか廻りますか?」
「それも捨てがたいけど…。海に出て船旅とかも良いんじゃないか?」
「船も良いですね。」
「船だと…インドの方とか?」
「あとは…島々を巡ったり?」
「…基寿は何処にでも直ぐに溶け込めそうだな…」
「あはは!そうかも!」

地球儀を指差し、二人でココは?アソコは?と語り合う。
楽しそうに地球儀を眺める岩瀬の姿をじっと見て…
現実には難しいであろう話でも、基寿とならば現実に出来そうだ―。
そんな事を思いながら、石川は微笑んでいた…


夢は何時でも、クル。クルリ―。






2007.08.10 UP